スペシャルティコーヒー豆 AKAGAWA

新たな出発(1)

30年の勤めに幕を下ろす

2002年9月4日、株主総会が終わり、全役員が任期満了で退任する。 33才で取締役になり、常務を経て代表取締役専務に就任したのが 38才、社員が10年、役員が20年の30年に及ぶ会社と別れを告げる53才の初秋であった。

時間に管理された生活の貴重さ

毎日6時半に家を出て、片道2時間15分の通勤時間が、今日からは無い。 これからの人生何をするか明確な方向は決まっていない。 18才で高校を出てから53才まで、働き詰めで一度も立ち止まらなかった、 少しゆっくりしようと自分に言い聞かせる。

好きなジョギングが、やり放題出来ると思っては見たものの、 実際に時間が使い放題だと、なかなか走れない。 時間の無いときにやりくりしながら、練習に励む時が効率が良く、 終わった後の精神的なすっきり感が全く違う。

身体に染みついたコーヒーは落とせない

さて、これから何をしようかと考えても、身体に染みついたコーヒーから逃れられない。 コーヒー業界からも誘いの話ぐらいは有るだろうと、 タカをくくって待っても埒があかず、一ヶ月が経つ。 よしそれなら珈琲屋でもやろうと考えるが、この地域でやっても人がいない。 人の集まる所は何処だろう、東金市のサンピアか成東町(現山武市)の長崎屋しかないと思い、 さっそく行動に移す。 サンピアは全くテナントの空きが無い。 長崎屋に行くと空きがあり、さっそく交渉に入る。

自営業に家内を引き込む

家内に自分の好きなこと、自分の得意なこと、自分の強みはコーヒーしかないことを話し、

「長崎屋で珈琲屋をやりたい、一緒にやってほしい。」

と話す。 家内もやりたいことが有り、今年からそっちの方向で進んでいたが、 渋々承諾を得て、オープンに向かって進む。

焙煎機の設置

珈琲屋をやる以上は、自家焙煎で炒りたての新鮮なコーヒー豆の販売と、 一杯抽ての香り立つコーヒーの喫茶を基本とする。 さっそく自宅の車庫の半分を区切り、焙煎室を造る工事を始める。 四畳半ほどの焙煎室が出来上がり、10月下旬には焙煎機も設置する。 焙煎機は徳島の友人が貸してくれ、 これが今回の独立に当たっての一番助かった事であり、一番感謝している。

コーヒーは舌で煎る

さっそく焙煎機を回し、コーヒーを煎ってみる。 15年振りの焙煎であるが、2、3回焙煎すると昔の感を取り戻す。 コーヒーを焙煎する事はそのコーヒーの持っている持ち味を最大限に引き出すことである。 さっそく飲んでみるが70点の出来具合で、いまいちソフト感、滑らかさにかける。 焙煎の基本は味覚である。 コーヒーは舌で煎る。 焙煎するコーヒーの特徴を理解し、想像し焙煎する、 煎ったコーヒーを常にテストし、納得出来る味がでているか常に確認する、これの繰り返しが焙煎である。

お客様から読んでもらえない名前

店名は<スペシャルティコーヒー豆の店Akagawaに決める。 このコーヒーは今までのコーヒーと違う、香りが、淹れたときの膨らみが違う、 酸っぱくない、すごく滑らかな味であるなどの違いが、飲んだ人に、直ぐに解るようなコーヒーが、 一般のコーヒーと差別化した、スペシャルティコーヒーである。 そういうコーヒーだけを長いコーヒー人生の中で、 販売してみたいと思っていたので、当然の様に店名が決まる。

しかし、店名のロゴマークが Specialy coffee beans Akagawa と決まったは良いが、オープン2年過ぎても、なかなかお客様に読んでもらえない。

「何の店なの?何という名前なの?」

という状態で、 ちょとまずかったかなと思う今日この頃である。

喫茶店ではないコーヒーショップ

喫茶のメニューは、美味しいコーヒーと手作りケーキを基本とし、 コーヒーはブレンド、ストレートコーヒー15アイテム全て飲むことが出来て、 オーダーを頂いてからサイフォンで抽出する。 ケーキは東金市内の有名店と交渉したが断られ、他を探し今のケーキ屋さんに巡り会う。 このケーキは大変評判が良く、今では最初の店に断られて良かったと思っている。

年中休みのない人生スタート

家内と二人三脚で始めるにしても、365日休みのないショッピングセンター内であるからには、 2人では出来ず、パートさんの募集をするが直ぐに応募があり、3人の女性を決まる。 2002年11月21日のオープンに向かって準備が整い、店の工事の進捗状況を見守る。

お店のコンセプトシート

お店をやると決めた時に、お店の基本的概念を次のようにまとめてみた。

コンセプトシート
ターゲット 価格
1.コーヒーが大好きな老若男女

2.地元に本格的なコーヒー挽き売り店を期待していた人達

3.他店にない差別化されたモカソフトクリームを子供から大人まで

4.美味しいケーキをどなたでも
1.一杯ずつサイフォン抽出による満足な価格:350円
2.焙煎したての新鮮なコーヒー豆:300円〜380円/100g
3.差別化されたモカソフトクリーム:280円
4.一個から買えるケーキ:300円〜350円
ショップコンセプト
普通のコーヒーなら売りたくない
1.ブラジルで見つけた自然栽培コーヒー
2.メキシコの農家の人たちのコーヒーに対するこだわり
3.グアテマラのインデヘナの人たちが作ったコーヒー
そんな差別化されたスペシャルティコーヒーを見つけました。
30年の経験を活かし、自家焙煎の炒り立てコーヒーを販売し、
地域一番店を目指す。
モチベーション サービス
1.気軽に一杯のコーヒーを楽しみたい

2.気の合った人とゆっくり談話したい

3.コーヒーの香りに誘われて買い物の後にちょっとひと休み
1.1人客も大切に親切で暖かい雰囲気と接客
2.明るく清潔な売り場と客席
3.1個の商品から気軽に購入できる雰囲気とレイアウト

記:2005年2月


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