スペシャルティコーヒー豆 AKAGAWA

コーヒー相場の恐ろしさ

コーヒーは石油に次ぐ、第2位の世界貿易高を誇る農産物である。 コーヒーの価格は需要と供給の関係で成立するのは基本であるが、 取引価格の指標となるのが、アラビカコーヒーがニューヨーク(NY)の取引所で成立する価格、 ロブスターコーヒーがロンドン(LN)の取引所の価格である。

このNY、LN両取引所で成立する価格は、需要と供給の関係以外の要素、 世界の投資家の思惑で左右される事の方が大きい。

現在のコーヒーの生産量は1位ブラジル、2位コロンビア、3位ベトナムで、 消費国では1位アメリカ、2位ドイツ、3位日本の順である。

1975年7月18日にブラジルで、大霜害が発生しコーヒー樹が霜にやられ大被害を受ける。 この時NYの取引所の価格は、1ポンド(450g)当たり 47セントが毎日上がり続け、 1977年の337セントまで暴騰した。 国内の原料価格で350円くらいから2500円の7倍まで跳ね上がった。 その日を境に今度は落ち続け、1978年には120セントまで下がる。

価格暴騰の一番の要因は、ブラジルの霜害による減産である。 ブラジルは世界の生産量の30%から40%を占めており、 霜の降った時期はコーヒーの収穫シーズンで実には影響が無く、 コーヒー樹そのものが被害を受け、翌年からの収穫が大減産になる。 霜の降った1975年は3500万俵のコーヒーが穫れたが、 1976年翌年は900万俵しか穫れなかった。 2600万俵の減産は世界の消費量の26%に当たり、 この量をカバー出来る生産国はない。 いかにブラジルがコーヒーの生産大国かわかる。

それにしても7倍まで暴騰した価格は異常であり、またあっという間に暴落する相場は、 投機筋のコーヒーが儲かると思うと、世界のお金がコーヒーを買いに走り、その結果売りに走る。 これら全てがコーヒーの現物が売り買いされたものでなく、 先物買い先物売りの空取引で、動くのはお金だけの世界である。

当時私は、コーヒーの仕入れも任されており、現物を必要とするコーヒー業者は、 毎日このコーヒー相場に翻弄される。 我々コーヒー業者も半年から1年先までのコーヒーをNY相場を参考価格に手当している。 決められた品質のコーヒーをブラジルから買うには3ヶ月近くの日数がかかる。 毎日暴騰するコーヒー価格とにらっめっこしながら、未だ上がるから買った方がよいと、 1年以上先まで買い進む、ところがある日から突然暴落である。 高く買ったコーヒーが日本には入り製品化する頃には、 コーヒーは安くなったとマスコミで報道すると、 実際には高い原料のコーヒーで製品化しているのに、 得意先はコーヒーが下がったのだから値下げしろの要求がくる。 当時は逆ざやの続く大変な1年であった。 コーヒーの相場とはこんなにも難しく恐いものかと思った。

現在のコーヒー相場は、ここ4年から5年は 50セントから70セントと比較的安値で安定しているが、 コーヒーの生産者に取っては死活問題の低価格である。 一般にコーヒーの生産に掛かる経費は70セントから90セントと言われている。 従って一部の中南米の生産国では、コーヒー農園をほったらかして、 出稼ぎに出ている状態である。 コーヒー樹に施肥や農薬散布など出来ないし、まして人手の掛かるコーヒーの収穫などしないで、 ほったらかしの方が赤字にならなくて済むと、荒れた農園が多く目立つ。

日本などの消費国側にとっても、原料の品質が低下し、 原料安で品質よりも価格を優先した製品が多く出回り、 レギュラーコーヒーも特売商品になりつつある。

現状のコーヒー相場が続く中、生産国、消費国とも新たな動きが活発化している。 それが<スペシャルティコーヒー>である。 生産者は美味しいコーヒーを作り、コーヒー相場関係なしに、高く買ってもらえるコーヒーを作る。 消費国も価格競争に左右されない、美味しいコーヒーを販売し消費拡大をはかる。 生産国ではブラジル(SCBA)、コロンビア(SCCA)、コスタリカ、グァテマラ、ニカラグア、 消費国ではヨーロッパ(SCEA)、アメリカ(SCAA)、 日本でも2004年の7月に 日本スペシャルティコーヒー協会が設立された。 スペシャルティコーヒーは、従来のコーヒーと違い、 生産から精選、流通、焙煎、販売、抽出までの全ての行程で管理されたコーヒーでなければならない。 価格的にも相当高くなり、当然従来のコーヒーの様な安値価格ではなく、 当然ディスカウントセールもなく、品質第一である。

このような活動が生産国、消費国とも活発化し、ブラジル、グァテマラにおいては、 スペシャルティコーヒーの最高峰を決める大会 <カップ・オブ・エクセレント>まで開催され、 世界中のスペシャルティコーヒーを求める人達によって、 インターネットオークションが実施され、定着しつつある。

私は、このようなコーヒーのみを自家焙煎で販売したくて
スペシャルティコーヒー豆の店 Akagawa 」を2002年11月に長崎屋成東店でオープンしました。 当店が販売している価格の1/3以下の価格帯で一般のコーヒーが同じ店内販売されています。

一杯のコーヒーが身体にリラックスを与え、心を癒す
その一杯が10円 or 30円、あなたはどちらを選ぶ?

スペシャルティコーヒーの定義  日本スペシャルティコーヒー協会

コーヒーを飲んだ人が、そのコーヒーの風味が素晴らしい美味しさであり、 美味しいと評価し、満足するコーヒーであること。 風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、 際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、 持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えて行くこと。

記:2004年5月

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